国内随一の名門魔法学校、東極一系魔法学校。
そこに通う主人公アレインは、しかし、魔法を使えば暴発ばかりの劣等生である。
同級生から揶揄を受ける日々の中、突然彼女のもとにスナークと名乗る謎の存在が現れる。
スナークは、アレインを従属させる代わりに、彼女の力をコントロールすると約束する。
アレインとスナーク。一人と一匹?タッグの最初の相手は、校内一の実力者、一葉峰緑子だった。
勝負の行方は、果たしてーーー。
シナリオご利用上の注意
①本シナリオは営利・非営利問わず、どなた様の上演も歓迎いたします。 上演の際に、作者に連絡や許諾の申請は不要です。 また、上演するプラットフォーム上でのクレジット表記等も不要です。
②本シナリオは皆様のアドリブや効果演出を歓迎いたします。 ただし、以下の点にはくれぐれもご注意をお願いいたします。
・大きくシナリオの内容を改変するアドリブはお控えください。
・本シナリオはシリーズ展開のため、他エピソードの内容を多分に含んだアドリブはお控えください。(ネタバレになるため)
・上記を逸脱しない限り、アドリブやキャストの選択は自由におまかせいたします。
登場人物
16歳 小柄で気弱な女の子。東極一系魔法学校の劣等生で、周りから馬鹿にされている。魔法は暴発してばかりだが、めげない努力家。幼少の頃に生き別れた両親と再会するのが夢。
年齢無 アレインが呼び出した謎の存在。アレインの魔力を食べる代わりに、彼女の力をコントロールする。逆さまにした鏡餅のような姿で、体色は薄紫。いつもふよふよ浮かんでいる。
16歳 金持ちの令嬢であり、東極一系魔法学校一の実力者。そこそこ美人。令嬢らしい上品な振る舞いや口調だが、その性格は傲慢。
16歳 一葉峰緑子の取り巻き。ストーカー気質あり。魔法の成績は中の下。一葉峰にあまり構ってもらえないのが、最近の悩み。高身長で容姿は良いが、普段の素行のせいでモテない。
30歳 東極一系魔法学校の教師で、アレインのクラスの担任。器用な魔法使いで、一人で魔法基礎のすべてを教えられる。それなりに優秀な教師だが、自分以上の実力である一葉峰には頭が上がらない。高身長で眼鏡をかけた生真面目そうな顔つき。気苦労が多く、白髪がちらほら。
シナリオ
(N)声が聞こえる。私を呼ぶ、優しい声。遠い記憶の中にある、懐かしい名前。 《レイ》。私をそう呼ぶ声は、いったい誰のものだろう
†
アレイン! 起きなさい。授業中に熟睡するとは、何事ですか!
全く。落ちこぼれの分際で、よくだらけていられますわね。毎度のことながら、あなたの能天気にはうんざりさせられますわ
緑子様の言う通りです。アレインのドン臭さといったら、もう。それに比べて、緑子様は今日もお美しい! さすが校内最強の魔法使い。ああ、こうしてお側にいるだけで、心がズッキュンいたします!
一葉峰さん。クラスメイトに対して、むやみに《口封じ》を使ってはいけません! 授業中だというのに、みんな騒ぎ過ぎです。私の授業は、そんなに退屈ですか?
あら。今さらお気づきですの? 宮部先生の授業は、とっても退屈ですわ。ワタクシが、先生から教わることは、もう一つもありませんもの
うっ。確かに、あなたはすでに、私よりも優秀な魔法使いですが・・・。はあ、もういいです。アレイン、熟睡の罰として、魔法を一つ、みんなの前で実演してください
緑子様、今のうちにアレインから離れた方がいいですよ。どうせ、またやらかしますから
行きます! 《火よ、灯れ!》 あれ? これで合ってるはずなのに。えい、やあ、とう! (爆発する) きゃああああ!
ああ、教室が・・・。アレイン、今度はもう少しホコリの立たない魔法をお願いしますね・・・
ただの間抜けな失敗のはず・・・。 でも、アレインの魔法には、何か・・・
(放課後、アレインの帰路)
はあ、また失敗しちゃったな。お父さんとお母さんと生き別れてから、一生懸命魔法を勉強して、なんとか東極一系に入学したけど、私にはこんな名門魔法学校で通用する才能なんてないのかな。いや、いつかお父さんとお母さんに再会したとき、強くなった自分を見てもらうんだ。こんなことで、挫けていられないわ。早く寮に帰って、魔法の特訓をしなくちゃ!
(翌日、アレイン登校中)
ふわあ。結局、夜通し特訓したけど、イマイチ成果はなかったな。おかげで、今日も寝不足ね。授業中眠らないように、気をつけなくちゃ・・・
我に仕えよ、人間。さすれば、我が大いなる加護を与えてやるぞ
誰もいない? もしかして、お化け? うう、怖いよう・・・わっ、眩しい!
怯えるな。今、汝の眼前に我が姿を現してやる。さあ、とくと見よ! 汝が付き従う主君の、厳粛で尊き有様を!
(スナーク、アレインの前に出現)
ふふふ。我が怖いか、人間。無理もない。人間如き矮小な存在には、我の姿はいと恐ろしく・・・
うん、可愛いよ! 小さくて、ふよふよぽわんって感じ! 色は少しケバイけど、総合的にはナイスマスコット!
ふん。予期していた反応とは異なるが、悪い評ではないようだな
やかましい。第一、我をこの世界に呼び寄せたのは、汝ではないか。汝が我に捧げてきた力、その極上の味わいを、我は忘れておらぬぞ
くどいぞ。とにかく、汝は今より我の従僕だ。逆らわば、消すぞ
ひい! 分かりました! これよりあなた様にお仕え申し上げます!
よし。では、我が従僕となった汝への褒美に、我が加護を与えよう
あ、ありがとうございます。ところで、あなたの加護ってどういうものなの?
えー、しょぼい! ご褒美っていうから、期待したのに!
主って言うわりには、ずいぶんけち臭いんだ。ご褒美なら、もっと役に立つのが欲しいなー
ちっ。存外欲深い人間だな。よろしい、汝に対する褒美は別に考えておこう
やったー! 意外と話が分かるのね。それで、私は何をすればいいの?
力って、魔力のこと? 捧げると言っても、どうやって?
とにかく、主となった以上、我はいかなる時も汝の側に鎮座するから、そのつもりでいろ
それって、なんか友達みたいだね。えへへ。そう思うと、悪くないかも
おんなじようなものでしょ? ねえ、あなた名前はなんていうの?
スナーク、ね。私はアレイン・レドリフよ。アレインって呼んでね。ねえ、スナークもそんな難しい喋り方はやめて、もっとフレンドリーにいこうよ!
我としては、この方が威厳を保てて良いのだが・・・んんっ(咳払い)。ま、いっか。オッケー。こんな感じ?
緑子様! さっきから私もお側にいるのに、なぜ私より先にアレインに挨拶を⁉ この私にも、緑子様のお言葉を賜りたく存じます!
同じクラスの一葉峰緑子さんと、田乃石仁一くん。一葉峰さんは学校一の魔法使いで、すごく優秀なんだよ。あ、田乃石くんはその大ファンね
おい、アレイン! お前も俺を差し置いてぶつぶつ独り言を言うな!
ごめんね、田乃石くん。私、独り言じゃなくて、友達と話してたんだ。二人にも紹介するね。こちら、私の友達のスナーク
友達? スナーク? 誰もいねーけど? 友達が出来なさ過ぎて、とうとうイカレたか?
ワタクシは、いいと思いますわよ。イマジナリーフレンドというものよね? 現実でお友達が作れないあなたには、お似合いですわ
言い忘れてたが、俺は存在の位が高すぎて、お前以外の人間には認知されないんだ。見えず、聞こえず、触れられないって状態なわけ
朝から面白いものが見られたわ。じゃあまた教室でね、アレイン。うふふ
(チャイム鳴る。アレインのクラスにて)
今日は授業の前に、来週行われる模擬戦闘訓練の対戦者を選出したいと思います。 いつも通りくじ引きで決めますから、順番にくじを引いてください
二か月に一回、クラスの中から二人選んで、一対一の魔法戦闘をやるの。対戦者はくじ引きで決めるから、私が選ばれる可能性もあるんだよ。うう、当たったら嫌だなあ
なに怯えてんだ。お前は俺を呼び起こすほどの力を持っている。その力をうまく使えさえすれば、誰が相手でも楽勝だ
ふん。アレインの奴、いつも俺より緑子様にかまわれやがって。緑子様の一番のファンは、この俺なのに! たまには痛い目見せないとな・・・
こ、これは、また当たりだ。ということは、今回の模擬戦は、アレイン対一葉峰さんですね
田乃石のやつ、魔法でくじを操作したわね。余計なことしかしない男だわ・・・。宮部先生、ワタクシ、この結果には納得いたしかねます
ワタクシとアレインでは、実力に差がありすぎます。これでは、お互いの魔法技術向上という模擬戦の目的が達成されませんわ
緑子様! 遠慮されることはありません! 緑子様が模擬戦に出るなら、きっと全校生徒が見学に来ます。アレインには、せいぜい都合の良い当て馬になってもらいましょう!
田乃石、そんなことが望みでいたずらを? あとできつくお灸を据えますからね
やべ。くじを操作したの、バレてる。でも、緑子様からお灸をいただけるなんて、田乃石、幸せ~!
なんだ、あの小娘。やけにお前との戦いを避けるじゃないか
アレイン、どうしますか? あなたも一葉峰さんに賛成なら、今回は特別にくじ引きをやりなおしますが
聞くまでもないわ。アレインは私に勝てない。それは、落ちこぼれのアレイン自身が一番よく分かっていますもの
アレイン、あなた、自分が何を言っているか分かっているの? 相手は、このワタクシなのよ? 東極一系歴代最優秀成績者の、一葉峰緑子なのよ!
分かってる。でも、ここで逃げたら一生落ちこぼれのままだもん。たとえ勝てなくても、自分がどこまで頑張れるか、確かめたいの!
とてもいい心がけですね、アレイン。では、今回の模擬戦はアレインと一葉峰さんの対戦で決まりです
アレイン・・・。いいわ。調子に乗ったその心意気、地獄の底まで叩き落としてあげる。大勢の前で赤っ恥をかくといいわ!
ああ、怒った緑子様も素敵だ。これでアレインも、緑子様に近寄れなくなるだろうぜ
(休み時間、空き教室でスナークとアレイン二人きり)
どうしよう! 勢いでとんでもないこと言っちゃった! スナークのせいだよ。私が一葉峰さんより強いなんて、変なお世辞言うから
世辞じゃねえよ。お前は、あの小娘を凌駕する力を持っている。それは紛れもない事実だ
またそんなこと言って。一葉峰さんは、先生たちより強いんだよ? それに、私は魔法が上手く使えないし
ない! あ、でも、強いて言えば防御系魔法かな。8種類くらい使えるよ。これだけは、クラスの中でも多い方なんだ
え、いいけど・・・じゃあ、基本的な《防壁》をやるね。 ごほん。《壁よ、外敵を防げ》!
今、お前の魔法を通して、俺に力が流れ込んで来た! 美味かった! やっぱり、お前の力の味は、最高だ
どういうこと? 私、いつも通りに魔法を使っただけなのに
なるほどな。お前は今まで魔法を使うたび、無自覚に力の一部を俺に捧げていたらしい。なぜそうなったのかは知らんが、これは使えそうだ。お前の魔法と俺がつながっているなら、暴走しがちなお前の力を、俺が調整してやることができる。よし、お前に対する褒美が決まった。これからは俺が力を制御し、お前を最強の魔法使いにしてやる!
最強の魔法使い? 本当に、なれるの? 落ちこぼれの、私が?
お前はもう、落ちこぼれじゃない。まずはその証として、あのムカつく小娘を打ち倒してやろうぜ!
(一週間後、模擬戦闘訓練当日。学校内の第二闘技場にて)
レディース、エンド、ジェントルメン! これより、東極一系魔法学校第一年次の模擬戦闘訓練を行います! ここ第二闘技場には、今回の模擬戦を観戦しようと、全校生徒が詰めかけております! 司会進行および実況解説および審判を務めますのは、皆さんおなじみの魔法教員、宮部太一です! さあ、まずは選手の紹介だ! 全校生徒も大注目の実力者、東極一系歴代最強の魔法使い、一葉峰緑子ぉ!
一葉峰さんの魔法戦闘なんて、滅多に見られないからね。そりゃあ、お祭り騒ぎにもなるよ
雰囲気に飲まれるなよ。この一週間、俺とお前は力の制御を徹底的に鍛えたし、作戦も練ってきた。自信を持っていけ
続いて登場するのは、魔法は苦手だが、努力の量は人一倍! アレイン・レドリフ!
さあ、両者ステージ上に出そろったところで、試合のルールを説明します。対戦者は私の合図で試合を始めます。試合中は禁忌の魔法以外、あらゆる魔法を使用可能です。先に相手に敗北を宣言させれば勝利となります。それから、私が危険と判断した行為は中止の指示を出しますから、必ず従ってくださいね。ルールは以上です。二人とも、よろしいですか?
アレイン、最後のチャンスよ。今すぐ敗北を宣言すれば、大勢の前で恥をかくことも、ケガをすることもない。この一週間、あなたがどう過ごして来たかは知らないけど、どうせワタクシには勝てない。今ここで、負けを認めなさい!
両者、開始地点まで下がってください。準備はいいですか? ・・・試合開始!
そんな防壁、消し飛ばしてあげる。《怒涛の神風》、《光槍の五月雨》!
一葉峰選手、いきなり大技だ! 凄まじい威力の魔法が、アレイン選手に襲い掛かる! さっそく勝負ありか⁉
こ、これは意外! アレイン選手の《防壁》が、一葉峰選手の魔法を防いだ! あれだけの攻撃を耐えきるとは、アレイン選手も成長しているようで、先生、嬉しいです!
言ったはずだ。力の強さなら、お前に分がある。俺が力を制御してやるから、存分に行け!
今の攻撃を防ぐとは、生意気ね。だったら・・・《波よ、巍巍岩塊を廃せ》!
防御系魔法のほとんどを砕く、波状魔法だ! 私にもできない高度な魔法です! アレイン選手に、これを防ぐ手立てはあるのか!
波状魔法なら、こっち! 《山風よ、歩みを阻め》!
おお。アレイン選手、お見事! 波状魔法を防御する手段を、ちゃんと勉強していたんですね。風の力を使って、一葉峰選手の魔法を食い止めました!
な、何が起こっているんだ⁉ いつの間にか一葉峰選手がアレイン選手の背後に回り込んで、えーと、アレイン選手はそれに気づいて・・・もう、分かりません! 私、教師としての自信を失いそうです!
どうなってんだ! 緑子様とアレインが互角の勝負なんて!
危ない、危ない。よく反応したな、アレイン。しかし、あの小娘。お前を下に見ていたくせに、ずいぶん本気で来るじゃねーか
苦しいだろうが、まだへばるなよ。小娘の力が空っぽになるまで耐えて、無防備になったところを仕留めるのが、俺たちの作戦だからな!
アレインの防御が、思ったより堅い。このままじゃ、先にワタクシの魔力が尽きる・・・。 ワタクシの、負け? 嫌よ! ワタクシは、校内最強の魔法使い、一葉峰緑子なのよ! たとえ道を外しても、まだアレインに負けるわけには行きませんわ!
一葉峰選手が、再び攻撃の準備をしています・・・こ、これは、なんという魔力だ・・・危険すぎる! 一葉峰選手、その魔法を使ってはいけません! 一葉峰選手、聞こえますか⁉
田乃石くん、今ステージに上がっては危険です! 戻って!
緑子様、それはやりすぎです! アレインが、いや、学校すら吹き飛んでしまう! 私は、あなたに殺人者になって欲しくありません! どうか、この田乃石に免じて、その魔法を使うのはお止め下さい!
もう遅いわ、田乃石。ごめんね・・・《法典よ、蛮勇を砕き、塵芥を布け》!
田乃石くん、アレイン、下がって! ここは、私が食い止めます! 《城よ、門扉を閉ざし、民を守れ》!
宮部先生です、一葉峰さん。教師を甘く見ては、いけませんよ
いいわ! だったら、あなたも一緒に吹き飛びなさい!
うう。なんて魔力だ・・・。 私の全力でも、防ぎきれないとは・・・
宮部先生、私も手伝います! 《壁よ、外敵を防げ》!
ア、アレイン・・・危険です・・・あなたは、逃げて・・・
そいつの言うとおりだ、アレイン! あれは、やばい!
逃げないよ! 最強の魔法使いは、こういう時こそ、立ち向かうんだから!
アレイン・・・成長、しましたね・・・先生、嬉しい、です
二人がかりなら止められると? ワタクシも、舐められたものねえ!
ぐはっ! まだ私は、生徒を守れていない、のに・・・
邪魔者は倒れたわ。あなたも楽になりなさい、アレイン!
う、うう。魔力が、もう残ってない・・・はあ、はあ。防壁が、割れる・・・でも、このままじゃ、学校が、みんなが・・・ぜえ、ぜえ・・・ああ、もう、ダメ。やっぱり、私、最強の魔法使いには、なれないわ・・・ごめんね、お父さん、お母さん・・・そして、スナーク・・・
ワタクシ相手に、よくここまで粘りましたわ。でも、これで終わりよ、アレイン!
・・・誰、私を呼ぶのは? 優しい声・・・ああ、懐かしいね、その名前・・・私の、名前・・・
なんだ⁉ 急にアレインの力が、増大した・・・。 おい、なんだ、この力。いつもの力とは異質すぎる。しかも、俺の制御が全く利かねえ! どうなってんだ⁉
アレイン、お前、意識が戻ったのか? いや、待て。 ・・・お前、本当にアレインか?
う、そ・・・ワタクシの魔法が、跳ね返されて・・・きゃああああ!
(SE:爆発 しばらく、沈黙)
・・・い、今の爆発は一体・・・しかし、学校は無事のようですね・・・。はっ! 二人は、無事ですか⁉ アレイン! 一葉峰さん! 先生の声が、聞こえますか⁉
力を使い果たして、寝ちまったか。明らかに様子が変だったが、ひとまず身体は大丈夫そうだな。しかし、あの魔法を防ぐどころか、跳ね返すとは。あの異質な力は、何だったんだ? まともに喰らったあの小娘も、さすがに生きちゃいないだろうな
ふ、二人とも、無事でしたか! 良かった、本当に良かった!
試合は、先に負けを認めさせた方の勝ち・・・そうでしたよね、宮部先生?
一葉峰さん、試合はとっくに中止です! もう、これ以上は・・・
ワタクシは! ・・・アレイン、ワタクシは・・・負け、ましたわ・・・
あ・・・。し、試合終了! 一葉峰選手の敗北宣言により、勝者、アレイン・レドリフ選手! とんでもない試合でしたが、なにはともあれ、その激闘を制したのは、アレイン・レドリフです! おめでとう、アレイン!
緑子様、申し訳ございません。全ては私の責任です。私があの時、ちゃんと貴方様をお止めできていれば! この田乃石、もう貴方様のお側にいる資格はございません・・・
田乃石。いつまで頭を下げているつもり? ワタクシ、疲れたから、帰るわ。もたもたしないで、一緒に来なさい。ワタクシのファンなら、当然でしょう?
緑子様・・・! はい! この田乃石、どこまでも緑子様のお側に!
ははは。色々あったが、とにかく勝ったぞ、アレイン! といっても、眠ったままで、聞こえちゃいねーか。幸せそうな顔しやがって。一体、どんな夢を見てるんだか・・・
ふへへ。紹介するね、こちら、友達のスナーク・・・。 むにゃむにゃ
†
(N)夢の中で、声が聞こえた。私を呼ぶ、変な声。さっきまで、落ちこぼれだった、私の名前。 《アレイン》。私をそう呼ぶ声は、私の主で、友達で、そんな不思議な声だった
end